400冊超の英語絵本の紹介。英語学習者、絵本好きの方におすすめです。

エド・ヤング

絵本作家 エド・ヤング

中国に生まれ育ったエド・ヤングは東洋を題材に数々の作品を発表しています。
斬新で力強いイラストでコルデコット賞・オナー賞を3度受賞した注目の絵本作家です。

Lon Po Po

Lon Po Po (Paperstar)

ロンポポ―オオカミと三にんのむすめ エド・ヤング文と絵  藤本朝巳訳  古今社

主なキャラクター
Shang, Tao, Paotzeの三姉妹 オオカミ

中国版赤ずきんちゃんはオオカミVS三姉妹。
天津に生まれ上海で育ったエド・ヤングによる中国版赤ずきんちゃんの絵本です。
表紙でこちらをグッと見据えるオオカミのたたずまいが印象的。昔話を幻想的に描いた本作は1990年のコルデコット賞作品です。

母親の留守中、祖母Po Poのふりをしたオオカミが三姉妹を訪れます。長女Shangの扉越しの質問をうまくかわし首尾よく家の中へ入ったオオカミ。正体を見破ったShangの知恵が窮地を救います。

ぴっくあっぷ名シーン迷場面
Tao and Paotze rushed to their Po Po and wished to be hugged. The old wolf held Tao. "Good child, you are so plump." He embraced Paotze. "Good child, you have grown to be so sweet."
まんまと家の中に入り込んだオオカミ。2人の娘を前に舌舐めずり。

Seven Blind Mice

Seven Blind Mice (Reading Railroad)

七ひきのねずみ エド・ヤング文と絵  藤本朝巳訳  古今社

主なキャラクター
7匹のネズミ

ことわざ「群盲象をなでる」を7匹のネズミで絵本に。
盲目の7匹のネズミが奇妙なものに出会います。一体あれは何だろうと1匹ずつ調べに行くことに。ところが柱だ蛇だ槍だ、いや崖だとてんでんばらばら。7匹目のネズミが端から端まで、上から下まで、ぐるりと走り回って結論に達します。
The Mouse Moral:
Knowing in part may make a fine tale, but wisdom comes from seeing the whole.
物語はこう締めくくられます。

黒の背景に赤、緑、黄、紫、橙、青、白色の7匹のネズミが登場。「群盲象をなでる」のことわざをシンプルで力強いアートワークで表現し、物語の世界に引き込みます。1992年のコルデコット賞オナー賞受賞作です。

ぴっくあっぷ名シーン迷場面
"Ah," said White Mouse. "Now, I see. The Something is
as sturdy as a pillar,
supple as a snake,
wide as a cliff,
sharp as a spear,
breezy as a fan,
stringy as a a rope,
but altogether the Something is...
最後の白ネズミがみんなの意見をまとめ、出した結論は。

Wabi Sabi

Wabi Sabi

Mark Reibstein文  Ed Young絵

主なキャラクター
ネコのワビサビ サルのコショウ

ネコのワビサビは考えた。What's WABI SABI?
京都を舞台に、ネコのワビサビが名前のルーツをたどる物語です。
「ワビサビ」ってどんな意味があるの?その答えを求めて比叡山に住むというコショウの元を訪れます。コショウはお茶でワビサビをもてなし、ふたりは静かに語り合います。

イラストは和紙の質感の紙を用いたコラージュで描かれて、渋く落ち着いたトーンで詫び寂びの世界を印象づけています。縦にページをめくるという仕立てがユニーク。ストーリーにhaiku(英語)を織り込み、日本語の俳句も配して独特のエキゾチックな和風情緒を醸し出しています。

ぴっくあっぷ名シーン迷場面
A bird flying by thought the question was for her."That's hard to explain," she said to Wabi Sabi. "But there is someone who can help you. His name is Kosho, and he lives on Mount Hiei, to the east.
ワビサビの意味を尋ねても答えはきまって「難しい」。確かにワビサビって難しい。

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TSUNAMI!

Tsunami!

津波 TSUNAMI! 小泉八雲 原作 キミコ・カジカワ再話 エド・ヤング絵 グランまま社

主なキャラクター 
オジイサン

日本の実話から生まれた「津波」の絵本。
tsunami(津波)は日本語がそのまま英語として使われています。そのものズバリ『TSUNAMI!』というタイトルの本書は幕末の日本で実際に起こった出来事から生まれた絵本です。

1854年に紀州を襲った安政南海地震。迫りくる津波から村人を救ったのが濱口梧陵です。彼は自分の稲むらに火をつけ津波の到来を知らせました。大切な稲むらを犠牲にして人命を救った偉業はラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の『A LIVING GOD』や『稲むらの火』で紹介されています。

『TSUNAMI!』はハーンの『A LIVING GOD』を絵本化した作品です。物語は「Long ago in Japan, there was a wise old rice farmer who lived near the sea. 」で始まり、濱口梧陵をモデルにしたOjiisan(オジイサン)の迅速な行動と津波の猛威が描かれています。

作者のキミコ・カジカワは日本人の母とアメリカ人の父を持ち、アメリカに暮らす作家です。ホームページには『TSUNAMI!』が世に出る興味深いいきさつが述べられています。
日本の昔話が好きだった彼女は図書館で出会ったハーンの物語に感動して絵本用の原稿を書き上げます。挿絵はぜひエド・ヤングに描いて欲しいと原稿を送りますがその願いは実を結びませんでした。それから10年の時を経て、彼女の元に朗報が届きます。2009年、『TSUNAMI!』は出版されました。2004年のスマトラ沖地震と2005年のハリケーン・カトリーナによって津波や水害への関心が高まったことがその背景にあったと、エド・ヤングは明かしています。

私はエド・ヤングのホームページを見て、日本を舞台にした『TSUNAMI!』という作品を知りました。彼のイラストがどんな風に津波を表現しているのだろうと興味を引かれましたが、読む機会はありませんでした。そして2011年3月の大震災。津波の脅威をまざまざと目にして、この作品のことを改めて思い出しました。
多様な質感の紙や植物素材を用いたコラージュが描く緊迫感と迫力。文字のない見開きいっぱいに津波が迫り、いまにも村を呑み込もうとしています。大震災の映像と重なり、不気味で生々しい迫力に圧倒されます。

ぴっくあっぷ名シーン迷場面
"Something does not feel right." Ojiisan wiped the sweat from his brow.
村人は秋の収穫祭に集い、楽しんでいます。オジイサンはただならぬ気配を察知します。

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Nighttime Ninja

Nighttime Ninja

よふかしにんじゃ バーバラ・ ダコスタ 文 エド・ヤング 絵  長谷川義史訳 光村教育図書

主なキャラクター
ニンジャ

忍び足のニンジャが闇夜をゆく。
時計が真夜中を告げました。カギ縄がひゅっと屋根に引っかかり、縄をするする渡っていくのは黒装束のニンジャです。よじ登り、飛び越えて、するりするりと忍び足で室内に。ひざまずいて耳をすまし目をこらして、さあひと仕事だ。

背には刀、手には縄を持ち、軽い身のこなしで暗闇を徘徊するニンジャ。短い言葉がテンポよくニンジャを追いかけます。その正体はいったい...。エド・ヤングのイラストは大胆な構図でワクワク感を盛り立てます。このお話を読んだらニンジャに変身したくなるかも。竹林や掛け軸といった和風テイストと東洋的な異国情緒が混ざり合った可愛いNinja物語です。

ぴっくあっぷ名シーン迷場面
Step by step, he balanced and leapt.
抜き足、差し足...。

WHALE SONG

WHALE SONG Tony Johnston 文 Ed Young 絵

海に響くクジラたちの歌。
クジラは音を発して互いにコミュニケーションを取り合うと言われます。クジラが奏でるそんな歌を、数を数えながら壮大に描いています。

海の中をクジラが泳いでいます。1頭が「ONE」と歌えば、伝え聞いた別のクジラが「TWO」と応えます。「THREE」から「FOUR」そして「FIVE」へ。
エド・ヤングが描くクジラの何とダイナミックなことでしょう。下から全身を仰ぎ見るかと思えば、小魚の群れををひと呑みする口元にズーム。尾びれ胸びれの力強さ。しなるからだ。青と緑のグラデーションの海にクジラの歌が響き渡っていきます。

「NINE」のあと、しばしの静寂。そして思いがけない展開に、晴れやかな気持ちにさせてくれます。


Ed Youngエド・ヤング)PROFILE
1931年、中国・天津生まれ。上海、香港で育つ。51年、アメリカに留学。広告会社勤務を経て62年に『The Mean Mouse and Other Mean Stories』を出版。絵本作家・イラストレーターとして数多くの絵本を手がける。89年にコルデコット賞、67年と92年にコルデコット賞オナー賞を受賞。アンデルセン賞に2度ノミネートされている。

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